私は身近にある自然や風景などをモチーフに、西洋絵画の画材・技法によって絵画制作を続けています。近年は描く対象の再現というよりは、現象や光に関心が傾いています。

 また、絵画を組成している絵の具の持つ物質性や筆勢、偶然性を活かした表現による絵画制作にシフトしています。最近は描くという行為やプロセスについて考えることが増え、その結果、絵筆を動かす時間と同じくらい絵を眺める時間も多くなってきたように思います。

 描くことは私が生きる世界との対話だと考えます。一枚の絵には描かれたもの、表に見えているイメージだけでなく画布に対峙しているときに自分が抱く想いや葛藤、また時間が内包されています。

 表現方法が多様に拡張していく中で、絵画にできることがまだ残されている気がします。

 

仲摩洋一